なぜ人は勉強(学ぶ)しなくてはならないのか?

建築設計科の池田です!


学生からよく私の担当している構造力学や建築構造の科目について
「なぜ、構造力学や建築構造を勉強しなくてはならないのですか?」と何度か質問を受けた
ことがあります。
このようなとき、どう答えれば良いのか。どんな科目でも大切だから必要だから学ぶので
あって、理由なんてないとその場面で言いたいものです。
でも、このような返答は学生にとっては大人の発している意見であって、決して納得のいくものではないでしょう。
自分が学生の立場に立つとわかります。

 さて、じゃあどう答えたらいいのでしょうか。
私は大江健三郎著『「自分の木」の下で』(朝日新聞社)という本で、回答を得ました。

この本の中に「なぜ子供は学校に行かなければならないのか」という章があります。
少し長くなりますが、その本の著者の文面を引用しますと、
「いま、光にとって、音楽が、自分の心のなかにある深く豊かなものを確かめ、他の人につたえ、そして自分が社会につながってゆくための、いちばん役にたつ言葉です。それは家庭の生活で芽生えたものでしたが、学校に行って確実なものとなりました。国語だけじゃなく、理科も算数も、体操も音楽も、自分をしっかり理解し、他の人たちとつながってゆくための言葉なのです。外国語も同じです。そのことを習うために、いつの世の中でも、子供は学校へ行くのだ、と私は思います。」と、著者である大江健三郎氏は述べています。

 承知の人は多いと思いますが、大江健三郎氏はノーベル文学賞芥川賞を受賞された世界的に有名な小説家です。私生活では、長女長男の二人の子供に恵まれておられますが、さきの文章に登場した長男光さんは知的障害者です。その光さんが、音楽を通して社会の人とつながっていく様子がこの本に書かれています。光さんにとって音楽が社会とつながるきっかけとなったのです。しかし、この発見は、学校に行かないとわからなかったと書いてありました。

 長くなりましたが、私がこの本を読んで学んだことは、学校で勉強している科目で無駄な科目はなく、もしかするとその科目がみんなと社会をつながる言葉(=めしの種)になるかもしれないということです。

 こういうことを考えながら、構造力学の授業中に寝むそうな学生を起こしている毎日です!!




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